「留学生30万人計画」は誰のためなのか?

「留学生30万人計画」と何か?

皆さんは「留学生30万人計画」というのをご存知でしょうか?

今から10年前、2008年に当時の福田康夫総理が打ち出した計画で、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒト、モノ、カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年を目途に留学生受入れ30万人を目指すというものです。

この「30万人」という数字は、当時の欧米の留学生の受け入れ率並みに日本も受け入れるとすると30万人程度受け入れる必要がある、というところから来た数字で、日本の事情を考えて決めたわけでもないのですが、
実際、この計画のために2012年以降、右肩上がりに留学生数は増加し、12.3万人(2008年)から、2017年時点で26.7万人に増えています。この調子だと2020年になる前に30万人を超えそうです。

増えた留学生の実態

ところが、ここ数年で急増した留学生は、実は皆さんが想像しているような、大学で勉学に励む意欲的な学生ではなく、ほとんどが「出稼ぎ」目的で来日している外国人だということをご存知でしょうか?

コンビニや、ファストフード店、レストランなどでよく見かける外国人もその多くは留学生です。もちろん、アルバイトしている留学生が皆、出稼ぎ目的で来ているというわけではありませんが、最近新たに留学生として入国している外国人の傾向として、出稼ぎ目的で、ベトナム・ネパールから来ている人が特に多いのが実情です。

彼らは多くの場合、100~150万円もの借金(現地斡旋業者の手数料や日本語学校の学費など)をして、来日します。日本の経済水準にすると、数千万円以上の借金を抱える感覚でしょうか。

なぜこのような「出稼ぎ」留学生が多いかというと、政府の「留学生30万人計画」ができたからです。これによって現地送り出し側のブローカー、日本で彼らを受け入れる日本語学校、専門学校などがビジネスチャンスととらえて現地で大量の「留学生候補」を甘い話に乗せて勧誘し、多額の手数料を徴収し、日本に呼び込んでいるからです。

留学生側は、現地ブローカーから毎月20~30万円も稼げると聞いて、借金はすぐに返済できるだろうと思って留学に来るわけですが、実際は、留学生のアルバイトは入管のルール上、28時間/週以内に制限され、ほぼ最低賃金になってしまうため、ルールを守るとせいぜい月10~12万円程度しか稼げません。生活費などを引いた手取りでは10万円にも届かないでしょう。

とはいっても実態は時間超過している人が大部分です。そもそも出稼ぎ目的で来ているのに、月に10万円では、借金を返すだけで日本語学校の在籍期限である2年間は終わってしまいます。目的は、国の家族に仕送りをすることなので、28時間ルールなど守るわけがありません。

そうすると、留学生は、昼間も夜間もアルバイトをし続けることになります。ただし在籍を確保するために、勉強する意思はなくても最低限は学校に出席しないといけないため、寝ずに学校に行ってそこで寝るようなことが起こります。

そんな学校で日本語を指導しないといけない日本語教師がとても気の毒になりますが、一部の日本語学校は出稼ぎ目的の留学生を大勢入学させ、しっかり入学金や学費を徴収して儲けるわけです。学生のカネで食っていくためにアルバイトの斡旋もやる教育機関があるようです。

留学生から搾取するブローカーや教育機関

日本政府も、最近急増している留学生の実態は、その多くが出稼ぎ留学生だということをわかっています。

国内の中小企業が、日本人の人材を獲得できないために、低賃金でも働いてくれる外国人労働者を求めているので、出稼ぎ留学生が入国する際に厳しく取り締まることもなく、どんどん受け入れているのです。

ところが、来日する留学生は大変苦しい生活を強いられています。
彼らは大きな希望を抱き、多額の借金を背負い、人生を賭けて日本にやってくるわけですが、来てみると、来日前に聞いていた話と違い、稼げない現実に直面して、学費や住居費を払えなくなって失踪したり、同胞の仲間と共謀して組織的に窃盗などの犯罪に走ったりする留学生が現れるのです。

(過去の投稿記事)「ベトナム人の犯罪が急増している?」

これを聞いて、「騙されて日本に来る外国人が悪い」と思われるかもしれませんが、単純労働者を正面から受け入れず、「留学生」として裏で大量に受け入れているのは日本政府なのです。

それに便乗しているのが現地のブローカーや日本の受入側の教育機関ですが、この構造はほとんど留学生をエサにした「サギ」です。
そしてその「サギ」の横行を助長しているのは日本政府です。

これでも、「日本にやってくる外国人留学生が一方的に悪い」と言えるでしょうか?

「留学生30万人計画」は今すぐ中止すべき

現在、急増している留学生が抱える問題(失踪、不法滞在や犯罪率の高さ)の根本的な原因は、実は日本の政策なのです。
留学生は最大の犠牲者です。

「留学生30万人計画」という無責任な政策は、留学生本人を犠牲にするだけでなく、近いうち現地にも悪評が広まり、今後真面目な留学生も日本への留学を敬遠するようになるかもしれません。

このまま政府が現行の制度を続けていれば、やがてベトナム人もネパール人も日本にやってこなくなるでしょう。

そのうち、ベトナムなど送り出し国も日本政府に対して苦情を言ってくるのではないかと思います。
留学生を食い物にするこの留学生制度は、現在も海外から批判されている「技能実習制度」よりもさらにひどい制度だと私は思っています。

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