人手不足の業界が淘汰される時代

最近よく話題に上る政府の外国人拡大政策として、次のようなものがあります。

①2012年から運用されている「高度外国人材ポイント制度」

(学歴、職歴、収入の程度によって、外国人の永住権を短期間で認めたり、配偶者の就労や家族の帯同、家事使用人の帯同などを認める制度)

②2019年度から運用予定の新在留資格制度

人手不足が深刻な5業種(介護、農業、建設、造船、宿泊)を対象に、新しい在留資格を作って、最大10年間の在留を可能にするという制度


■高度外国人材ポイント制度

①は、日本政府が一番欲しがっている、エリート外国人を日本に呼び寄せるために、一般の外国人よりも優遇する制度です。

開始された2012年からの実績を見ると、
2016年末で高度人材在留者総数5,549人のうち、中国が3,621人で全体の65.3%を占めています。2位以下は、アメリカ290人(5.2%)、インド266人(4.8%)、韓国217人(3.9%)、台湾165人(3.0%)となっています。

出所: 法務省

制度開始以降、増加が続いていますが、既に外国人労働者を120万人以上抱える日本ではまだまだ小規模すぎると思います。
さらに、この先どこまで増えるのかもわかりません。

世界的にも、日本の労働環境に対する魅力が低いことが裏付けされているからです。以下はその一例です。

●スイスのビジネススクールIMDの発表

「2017年版 世界人材ランキング」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-11-21/OZQUJF6TTDS001

●経済産業省調査

「外国人留学生対象の日本の労働環境アンケート」

http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160205003/20160205003.pdf


■国内の人手不足を穴埋めするための労働者政策(2019年度から運用予定の新在留資格)

2019年から新しい在留資格を作り、最大10年間の在留を認めるという制度で、政府の目標は、2025年までに50万人の受け入れを見込むとのこと。

ただしこの制度では、技能実習生として任期を終えた人が在留期間延長の対象になっており、家族帯同も認めていません。

安倍政権発足以来、実質的に技能実習制度や留学生制度で外国人労働者は一貫して増加していますが、
はたして新しい制度で、日本人がやらない人手不足業界にたくさんの外国人がやって来るのか?

私は非常に疑問に思わざるを得ません。

なぜなら外国人送り出し側の東南アジア諸国の経済レベルがどんどん上がり、逆に停滞している日本との格差が縮小しているので、この分野においても、日本で働く魅力がどんどん低下していることと、「技能実習制度」では構造的にお金を稼げないこと、人権が保証されていないことなどが、既に多くの報道により露呈しているからです。

さらには長期間在留できたとしても家族帯同できないなど、制度の不備もあります。


■外国人はこれから日本に増えるのか?

「インバウンド」と呼ばれる外国人観光客は増加の一途を辿っています。

中国や東南アジアの経済レベルが上がり、日本が停滞しているのが原因と思われますが、
日本は今後も外国人観光客は増えるでしょうが、働く外国人はなかなか増えなくなるでしょう。

つまり、人手不足と言われる業界では、賃金や待遇の改善に取り組まない限り、今後さらにひどい人手不足に陥る可能性が高い。

逆に、人手不足がさらに深刻になることによって、経営力の無い会社がどんどん淘汰されていき、賃金を上げるなどで人を集められる強い会社が生き残り、人手不足業界の待遇が上がる方向に進むので、日本人にとっては良い方向に進むと言っている人もいます。

会社の経営能力が試される時代になってきたなという気がします。

 

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