日本語教育はボランティア任せで良いのか?

私は以前、数年間にわたって、複数の地域のNPO団体でボランティア日本語教師を務めたことがあります。
教師になるために一般的な、「日本語教師養成講座(420時間)」を受けて始めたわけですが、元来人に何かを教えることや外国人と話すことが好きな性格だったので、東南アジアの人たちや日系人たちに教えることはとても楽しく、また人の役に立っているという実感もありました。
そもそも、毎回ボランティア教室に通ってくる外国人は、皆こちらが感心するほど勉強熱心な方ばかりでした。毎週勉強するのを楽しみにしている。学習意欲の旺盛な人達に指導をすることで、自分自身が多くを学ぶことができました。

●日本語教師にボランティアが多い実情とその理由

では実際に国内ではどのくらいのボランティア教師がいるかというと、割合でいうとなんと教師の6割がボランティアです。
また、日本語学習者のうち、留学生が全体の6割以上を占めています。留学生は通常大学か日本語学校で日本語を学習するでしょうから、ボランティア教室で学習する人は留学生以外の人、つまり永住者や定住者が多いと思われます。(統計では「不明」が多い)

このことから、留学生以外で中長期間定住している外国人の多くは、地域のボランティア教室で日本語を学んでいると想像できます。
ボランティア教室なくしては彼らが日本語を学ぶ場所が無いとも言えるでしょう。

また、年代別日本語教師数をみると、日本語教師を担うのは、40代~70代が大部分を占めていることがわかります。若者は少ないです。なぜでしょうか?
一番の理由は、やはり待遇が低いことだと思われます。
日本語は他の言語と比較しても難しく、中国、台湾など漢字圏以外から来た人にとっては習得に大変な時間がかかる言語と言われています。
それだけ教える作業にも工夫が必要であり簡単ではないのですが、なぜか日本語教師の待遇は低く、とてもそれだけで家族を養うことは困難なのです。
待遇が低い原因は、日本語学習者の需要が、英語や他言語ほどは無いこと、また、多くの学習者たちは日本と比較すると開発途上国と言われる国から来ており、経済的に豊かではないため日本語の学習にお金と時間を掛けられる状況にないことが挙げられます。
そのような理由で、主に時間のある主婦層や定年退職後の男性が日本語教師の主役になっていると考えられます。

●ボランティアに頼ることのメリットとデメリット

日本語教師の大半が地域の団体で活動するボランティア教師ですが、これは地域で生活する外国人にとって経済的負担が少なくなるのでその点は大きなメリットだと思います。ただし一方では、教師の指導レベルはピンキリとなってしまい、また学習者の経済的負担が少ない分、モチベーションが上がりにくいこと、また教師側のプロ意識も薄くなること、さらに学習者のレベルに応じた細かなカリキュラム設定が難しいというデメリットもあります。
イメージ的には、NPOなどのボランティア教室では、学習意欲に満ちた人は長続きしやすいですが、そうでなければ学習を継続しにくい仕組みと言えるでしょう。

●継続的な日本語教育が必要ではないか

ボランティア教師に頼っている現在の日本語教育は、決して理想的なものではないと思います。
なぜなら、日本語は学習しなくても自然に上達するものではない(会話力についてはある程度生活の中で自然に向上することもありますが)言語であり、永住者や定住者など長期間国内で生活する外国人にとっては、読み書きも含めた日本語力を必要とする機会は多いはずであり、そのような人に対して十分な日本語学習システムが整っているとは言えないからです。
そのためには、民間・自治体任せではなく、行政が主導して、地域に暮らす定住外国人が個人のレベルと目標に応じて適切な学習カリキュラムを継続的に受けられるような日本語教育システムを作ること、また教師の待遇を改善すること、教師の指導能力に応じて公的な資格を確立すること、等が必要ではないでしょうか。

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