外国人生活保護受給者が増えている?

先日の新聞記事で、外国人の生活保護受給者が増加して、過去最高になったとの報道がありました。(2018年5月3日 Sankei Biz)

「生活保護」と聞くと、不正受給している人がいるといったニュースはよく目にしますが、外国人の生活保護については今までほとんど把握していませんでした。
ですので、この機会に状況を整理してみたいと思います。

外国人に対する生活保護制度の背景

現行の生活保護法は、戦後の昭和25年(1950年)に日本国憲法の生存権(25条)を保障するために制定されました。
ところがこの時は、保護の対象は日本国籍者のみでした。
その後、昭和27年(1952年)のサンフランシスコ条約によって在日韓国・朝鮮人が日本国籍を失いました。

その結果、保護の対象にならない外国人が急増し、彼らの生活が苦しくなり貧困者が増加したために、昭和29年(1954年)に政府は日本に住む外国人の貧困層も保護の対象として取り扱う通知を出しました。

これが外国人に対する生活保護制度の適用のきっかけとなり、以降現在まで外国人にも生活保護を受給する措置が続いています。
{ちなみに、1982年時点で35歳以上だった(2018年現在で71歳以上)在日韓国・朝鮮人は、国民年金の年金資格期間を満たすことができず、年金を支給されない、「無年金者」と言われています。}

また、1991年には、外国人の中で保護対象は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者に限定されることになりました。

外国人の生活保護受給者はどの程度いる? また実際にどんな人が生活保護を受給している?

まずは冒頭のニュース記事によると、2016年度の外国人生活保護受給数は月平均72,014人(47,058世帯)となっています。
この年の在留外国人総数は238万2千人だったので、2016年度の外国人の生活保護受給率(保護率)は3.0%です。

同じく日本人はどうでしょうか?
2016年のデータで見ると、日本人の生活保護受給者数は214万5千人( 164万世帯)、総人口は 1億2693万人なので、日本人の生活保護受給率(保護率)は 1.7%です。

数字の上では、外国人のほうが日本人よりも生活保護受給率(保護率)がかなり高いように感じます。

ではどんな外国人が生活保護を受給しているのか?
まず、国籍別に見ると、以下のようになっています。(2015年)

また、2008年と2015年を比較してみるとこのようです。

2015年のデータでは、圧倒的に多いのは韓国朝鮮人世帯で約65%を占め、続いてフィリピン人世帯が12%、中国人世帯が11%、ブラジル人世帯が3%です。
数字上ではとても国籍が偏っていますが、生活保護の適用を外国人に広げた上述のような背景が影響していると思われます。

次に、国籍別(上位4か国)の世帯類型を見てみます。
最近の傾向を知るために、2008年と2015年の比較をしました。






これによると、国籍によって生活保護者の世帯類型がかなり異なることに気づきますね。
韓国・朝鮮人は、高齢者世帯が圧倒的に多く、フィリピン人は母子家庭が圧倒的に多い。中国人は突出した特徴はあまり無く、ブラジル人は母子家庭、高齢者世帯、そしてその他世帯が多いです。推測ですがその他というのは単身もしくは普通のファミリー世帯のことでしょう。

さらに年齢階級別で見てみると以下のようです。国籍によって年齢層も大きく違うことがわかります。





なぜこのような世帯類型、年齢構成になっているのか? また今後の傾向はどうなっていくのか?

韓国・朝鮮人は、過去の歴史的な経緯から、多くの無年金者が発生し、その方たちが高齢化していることにより、生活保護受給者が増えていると考えられます。
この状況だと、恐らく今後もさらに増えていくのではないでしょうか。

フィリピン人は、恐らく来日当初は日本人の配偶者がいて子供が生まれたが、その後離婚するなどして母子家庭となり、大きな収入源を失った結果として生活保護受給者が増えていると考えられます。
今や日本人の母子家庭の貧困が問題になっていますが、外国人である彼らは、日本人以上に厳しい環境にあるのは想像に難くありません。
よほど好景気にならない限り、今後も増える傾向が続くのではないでしょうか。

中国人は、永住者などで高齢者が増えていることや、在留中国人総数が増えている分、受給者も増えているようです。

またブラジル人は、総人数は少ないですが、最近数年間で、全ての世帯類型で急増しています。この原因は、定住者となった日系人家族が成長し、高齢化しつつあるうえに、地域の同国人コミュニティ以外での日本人との接点があまりなく、将来を担うべき若い世代でも日本語という壁をなかなか克服できないため、若者の就職が難しくなっているからではないかと考えられます。

生活保護受給者数の今後の動向としては、高齢化が進んでいる韓国・朝鮮人が圧倒的に多いこと、また在留外国人総数が現在も増え続けていることにより、今後も受給者数はさらに増え続けるのではないかと思います。

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