「出稼ぎ」をしにやって来たのに、「出稼ぎ」できない制度

1993年に制度化された外国人技能実習制度によって来日する実習生は、安倍政権になってから増加の勢いを増しています。

技能実習生数は、2017年6時点で25万人で、外国人労働者のうち20%を占めています。

 

制度の本来の目的は、「開発途上国の経済発展に貢献するために、その国の技術者を受け入れて日本で技術、技能を習得して母国で活かしてもらう」というのが建前ですが、全く形だけになっており、実態は、人手不足の企業が安い労働力を確保するために利用している制度でしかありません。

また来る外国人側も、技術移転など頭になく、単に母国の家族を養うための出稼ぎを目的として来ています。

日本政府はその実態を知っていながら、正面からは単純労働者は認めないという態度をとっています。

何という矛盾した制度なんでしょうか。

なぜ実習生は失踪するのか。

技能実習生の増加に伴い、失踪者も右肩上がりに増えています。最近はベトナム人が半分以上を占めています。

 

なぜ技能実習生は失踪するのでしょうか?

恐らく皆さんは、ブラック企業のような長時間労働、低賃金や賃金未払いがその原因だと思われるかもしれませんが、一番の理由は、来日前にブローカーから聞いていたよりも、全く稼ぐことができないからです。

技能実習制度は、送り出し側のブローカーが来日前に実習生を募集して多額の手数料を受け取る仕組みになっていますが、ここが甘い話を持ちかけて、実習生を「釣る」わけです。

そこでは日本に行きさえすれば、すぐに高収入が得られ、手数料などすぐに返済できる、そして稼げる、と宣伝して日本に送り出すのです。(ほとんどサギ!)

 

ところが実際はどうでしょうか?

100万円以上の借金を背負って、母国の家族を貧困から救うために、夢を抱いて「出稼ぎ」しようとやってきた実習生が、何人かと相部屋で暮らし生活費をぎりぎりまで抑えて毎日働くだけ働いても、収入は10万円前後にしかならず、借金の返済だけでも軽く1年以上かかる計算です。

 

実習生は恐らく数ヶ月で借金の返済を終えて、後は母国の家族が何年も暮らせるだけの高収入を、2〜3年で稼げると思って来日するでしょうが、とんでもない現実に気づくわけです。

 

さらにひどいことに、技能実習制度では職場を変更することができないのです。これも、実習生の人権侵害を助長している原因になっています。

 

来日して数か月もすれば、いつごろ自分が借金を返し終わり、実習期間中にどれぐらい稼げるのか、大体予測することができます。

そこで期待とかけ離れた現実に落胆した実習生は、その後どうするでしょうか?

そのまま夢を叶えられない実習先に居続けるでしょうか?

 

現在は、実習生のコミュニケーション方法はスマホがメインでしょう。

今や実習生どうしで、Lineやfacebookを利用すれば色々な情報交換ができます。

出稼ぎに来る外国人というのは、言葉もわからない異国の地へ、家族を救うために、とんでもない借金を背負って命がけで来るわけです。

そこでより待遇の良い職場の話があれば、失踪してでも、道が開ける可能性に賭けることは当然の発想だと思います。

 

もちろん、全ての実習生がこのような境遇や思いを抱いて来るわけではないでしょうが、失踪者が右肩上がりに増え続ける原因のもとにはこのような事情があるのです。

 

悪徳ブローカーと監理団体が美味しい汁を吸う「技能実習制度」

この制度を知れば知るほど、「欠陥制度」だと思わざるを得なくなります。

これは既に多くの批判的なマスコミ報道、ジャーナリスト報道、また出版書籍によって明らかです。

外国から「出稼ぎ」労働者をどんどん誘因しておきながら、「出稼ぎ」がまともにできない制度になっているのです。

 

それでも、政府は今も今後もこの制度をさらに推進し続けようとしています。

技能実習制度で旨味を得るのは、甘い話でサギ的に実習生を日本に連れてくる悪徳ブローカーと、来日した実習生を受け入れる企業から様々な手数料を取る監理団体です。

 

政府は来年度から、技能実習生として5年間働き続けた人を対象として、新しい在留資格を作り、さらに長期間の在留を可能にするという政策を発表し、「外国人労働者の受け入れに本格的にカジをきる」としていますが、これは技能実習制度の延長制度でしかなく、また家族帯同も認めていません。

これでは、今後一層、失踪者がさらに増えるだけではないでしょうか?

 

「なぜ技能実習生は失踪するのか?」

答えは

「失踪しなくては夢やモチベーションを持ち続けにくい制度だから」

と私は考えています。

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